8月13日(火)妄想、興奮、暴言、暴力と、認知症の周辺行動のフルコースの4時間の徘徊。
朝、早く起きてきたので、「もうちょっと横になってたらぁ」とすすめると、「なんで、死んだマネせなあかんのよぉ」。
「だ〜か〜ら〜、もうちょっと、寝てたら、という意味やん」で、黄色いネグリジェーは、前後ろ裏表も反対で、お見事。
「なぁ、死んだ人間と生きてる人間をどう説明したらいいのぉ。あっちも顔見知ばっかりで、こんなんやったら死んでるのも生きてるのも一緒やなぁって…、向こうでも勉強させてくれるんやで。でなぁ、あの世に行ってきたご感想はぁ?って、新聞記者みたいな人に聞かれてん、写真まで撮られたんやでぇ」
「あの世って、どんなところやったんよ」
「好きなことしてたらいいだけやん。あの世とやらはぁ、どうですかぁ、って…、向こうでも勉強させてくれるねんけど、私、頭がいいんやてぇ」。
そよ風さんの出来事を、あの世の話にしてるようだ。
で、元気に、この世のそよ風さんに出発。
で、5時半にご機嫌で帰ってきてすぐに夕食。
理事長からもらった白ゴーヤでちゃんぶる、アジのカルパッチョ。
白ゴーヤはマイルドなのに、ママはゴーヤを避けて食べている。
子供の頃、死にもの狂いでピーマンを拒否した私に、鬼のように食べさせたくせに…。
とってもご機嫌だったのに、「ほな、今日はもう帰るわ」で、6時30分に出て行きました。
ちょっと説得したが、どんどん反抗期の子供のように反発が激しくなってきたので、これ以上の説得は戦争になるだけ…、ベクトルは 上がる前に折ってしまえ ホトトギス、である。
で、水を凍らせたペットボトルをフリーズの袋を入れて持ってもらい、「いってらっしゃ〜」で、あとから尾行。
もう完全に快速が戻っているママリン、平野町通りを東へ進み、あっという間になにわ筋を横断。
で、あたりが暗くなって人通りも少なくなって、心細くなって、家族連れにSOSしてる。
困っている家族に出て行って事情を説明し、ママももう帰るというので、元来た道を戻りだしたら、「違う。そっちの道は、さっき逃げて来た家の方やって…、こっちに行くわっ」で、さらに東へ歩き出したぞ。
フリーズに入れた水のペットボトルは重くて捨てたようで、ちょっとバックするとすぐに見つかり、ピックアップ。
で、もう悪い方にどんどん気分が変わり、私はママを売り飛ばす女衒のあっこで、ママは追っ手から逃げる悲劇の少女で、道行く人に「助けてくださ〜いっ。人さらいに追いかけられてるんですぅぅ」と、もう悲壮な叫び。
あみだ池筋まで逃げて、そこで必死に「交番はどこですかぁ。人さらいに追いかけられてるんですっ」と訴えて、私が出て行くと、「キャ〜、助けてぇぇ。あの女が売り飛ばすんですっ」。
ママに捕まったお姉さん、「いえいえ、大丈夫ですよ。うちの父もそうなんですぅ。交番の方向を教えたらいいんですね。はい、分かりました」で、ママに靭交番の場所を丁寧に教えてくれる。感謝。
しかし、交番まで行く暗い森の靭公園を横切る勇気がないママ、デザイナーかミュージシャンのような陽気な兄ちゃんを捕まえて、「お願いっ。警察まで連れて行ってぇ。お願い、助けてちょうだい」と手を握りしめる。
私がちゃちゃと事情を説明すると、「交番まで行けばいいんですね。いいですよぉ。もう帰るだけなんで、つきあいますわぁ。さっ、おばあちゃん、一緒に行こかぁ」で、お手手つないで、歩いてくれる。感謝。
「後ろに女がつけてますでしょ。あの女は人さらいなんです。私を女郎に売り飛ばすんですぅ」
「女郎って…、でも、おばあちゃん、働かれへんでしょ」
「いいえ、あの女は5人も10人も売り飛ばしてるんですぅ。私はそんな仕事は絶対に嫌なんですぅ」
「そらそうでしょう。僕もおばあちゃん出て来たら困りますもん」。
で、ママのそら恐ろしいヨタ話に、私の方を振り向いては困った笑い、私も舌を出してごまかす。
で、無事に靭交番のお巡りさんにママを引き渡してくれた陽気なお兄ちゃん、「大変ですねぇ。がんばって下さいねぇ。ほんと大変やと思いますが、おばあちゃんをみったってあげてくださいねぇ」で、エールを送ってくれる。いい人やぁ。
こんな シェチエーション じゃなくて、どこぞのバーで出会っても、ええ感じで一期一会していただろうな。
で、靭交番のお巡りさん、「話には聞いてたんですが、僕はおばあちゃんに会うのははじめてで、どうしたらいいでしょうか」に、追出してくれたら、また後ろをつけますのでと打ち合わせ。
ママは西警察署管内でも有名であった。
お巡りさんもちょうど警邏の時間だったので、ママも交番から出て来る。
「いろいろ腹がたつこともあると思いますが、これは病気やからねぇ。そんなことはもう分かってはると思いますが、怒らんといてあげてくださいねぇ」と諭される。
もちろん怒ったりはしないが、その後、車がビュンビュン通る車道を歩くので、そこは手を引っぱって歩道に連れ戻すが、ママは「離せっ、触るなっ」と大暴れ、私に手を出す。
でも、運動神経の良い私はうまくパンチをかわし車道側をガード、ジーン・ケリーのステップで、ママのヤクザな攻撃を暖簾に腕押しで、雨に唄えばでかわす。
で、さらに東へ歩き出して、どこぞのビルのエントランスの階段に座り込んだママ、ここからが長い。
どのタイミングで声をかけるか、早過ぎたらまた興奮して怒るし、遅過ぎると歩かれへんとごねるし、難しい局面だ。
ちょうどあいこちゃんからケータイがあり、只今ママのライブ監視中と報告。
で、約40分待ったところで、ママの前を通り過ぎてコンビに水を買って戻って来る。
「ママ、お水飲みよぉ」に、「あ〜、美味しい。なぁ〜、これからどうしたらいいのぉ」。
それを聞きたいのはこっちじゃいで、「いや、どうしたらいいか分からんから、あんたに聞いてるんやないのぉ」で、そしたら帰りましょうで、やっと落ちたぜ。
しかし、もう歩けないそうで、堺筋本町から地下鉄で帰る。
ママはもうケロリとしたもので、「地下鉄って怖いなぁ。こんなとこ、一人でよう帰られへんわぁ。あんたは何でも知ってるんやなぁ。私は田舎もんやから、怖いわぁ。さすがにあんたは大阪の子やなぁ」で、普通の子になっていた。
家に着いたのが10時30分。
おいおいおい、4時間の徘徊やないの。
それも、妄想、興奮、暴言、暴力、徘徊と、認知症の周辺行動のフルコースやないの。
今日はママがデーから帰る前に久々に風呂に入ったので、きれいな体のまま気持ちよく寝たかったのに、ママに女衒あつかいされて、汗みどろの体は塩っぱいぞ。
しかしママはもう素直なおばあちゃんになっていて、パジャマに着替えて寝てくれる。
やっと静かな夜を迎え、あの4時間の不毛の徘徊が、もう遠い昔のような気になるのは、この4時間が全くのママのペースで私とは関係なく、ただ空気のようにママの後ろを漂っていただけだったからだろう。
そう、私にとって、この4時間は虚無、ブラックホールである。
本日の評価:
本日の家出:1回(善意の方々、靭交番)
「だ〜か〜ら〜、もうちょっと、寝てたら、という意味やん」で、黄色いネグリジェーは、前後ろ裏表も反対で、お見事。
「なぁ、死んだ人間と生きてる人間をどう説明したらいいのぉ。あっちも顔見知ばっかりで、こんなんやったら死んでるのも生きてるのも一緒やなぁって…、向こうでも勉強させてくれるんやで。でなぁ、あの世に行ってきたご感想はぁ?って、新聞記者みたいな人に聞かれてん、写真まで撮られたんやでぇ」
「あの世って、どんなところやったんよ」
「好きなことしてたらいいだけやん。あの世とやらはぁ、どうですかぁ、って…、向こうでも勉強させてくれるねんけど、私、頭がいいんやてぇ」。
そよ風さんの出来事を、あの世の話にしてるようだ。
で、元気に、この世のそよ風さんに出発。
で、5時半にご機嫌で帰ってきてすぐに夕食。
理事長からもらった白ゴーヤでちゃんぶる、アジのカルパッチョ。
白ゴーヤはマイルドなのに、ママはゴーヤを避けて食べている。
子供の頃、死にもの狂いでピーマンを拒否した私に、鬼のように食べさせたくせに…。
とってもご機嫌だったのに、「ほな、今日はもう帰るわ」で、6時30分に出て行きました。
ちょっと説得したが、どんどん反抗期の子供のように反発が激しくなってきたので、これ以上の説得は戦争になるだけ…、ベクトルは 上がる前に折ってしまえ ホトトギス、である。
で、水を凍らせたペットボトルをフリーズの袋を入れて持ってもらい、「いってらっしゃ〜」で、あとから尾行。
もう完全に快速が戻っているママリン、平野町通りを東へ進み、あっという間になにわ筋を横断。
で、あたりが暗くなって人通りも少なくなって、心細くなって、家族連れにSOSしてる。
困っている家族に出て行って事情を説明し、ママももう帰るというので、元来た道を戻りだしたら、「違う。そっちの道は、さっき逃げて来た家の方やって…、こっちに行くわっ」で、さらに東へ歩き出したぞ。
フリーズに入れた水のペットボトルは重くて捨てたようで、ちょっとバックするとすぐに見つかり、ピックアップ。
で、もう悪い方にどんどん気分が変わり、私はママを売り飛ばす女衒のあっこで、ママは追っ手から逃げる悲劇の少女で、道行く人に「助けてくださ〜いっ。人さらいに追いかけられてるんですぅぅ」と、もう悲壮な叫び。
あみだ池筋まで逃げて、そこで必死に「交番はどこですかぁ。人さらいに追いかけられてるんですっ」と訴えて、私が出て行くと、「キャ〜、助けてぇぇ。あの女が売り飛ばすんですっ」。
ママに捕まったお姉さん、「いえいえ、大丈夫ですよ。うちの父もそうなんですぅ。交番の方向を教えたらいいんですね。はい、分かりました」で、ママに靭交番の場所を丁寧に教えてくれる。感謝。
しかし、交番まで行く暗い森の靭公園を横切る勇気がないママ、デザイナーかミュージシャンのような陽気な兄ちゃんを捕まえて、「お願いっ。警察まで連れて行ってぇ。お願い、助けてちょうだい」と手を握りしめる。
私がちゃちゃと事情を説明すると、「交番まで行けばいいんですね。いいですよぉ。もう帰るだけなんで、つきあいますわぁ。さっ、おばあちゃん、一緒に行こかぁ」で、お手手つないで、歩いてくれる。感謝。
「後ろに女がつけてますでしょ。あの女は人さらいなんです。私を女郎に売り飛ばすんですぅ」
「女郎って…、でも、おばあちゃん、働かれへんでしょ」
「いいえ、あの女は5人も10人も売り飛ばしてるんですぅ。私はそんな仕事は絶対に嫌なんですぅ」
「そらそうでしょう。僕もおばあちゃん出て来たら困りますもん」。
で、ママのそら恐ろしいヨタ話に、私の方を振り向いては困った笑い、私も舌を出してごまかす。
で、無事に靭交番のお巡りさんにママを引き渡してくれた陽気なお兄ちゃん、「大変ですねぇ。がんばって下さいねぇ。ほんと大変やと思いますが、おばあちゃんをみったってあげてくださいねぇ」で、エールを送ってくれる。いい人やぁ。
こんな シェチエーション じゃなくて、どこぞのバーで出会っても、ええ感じで一期一会していただろうな。
で、靭交番のお巡りさん、「話には聞いてたんですが、僕はおばあちゃんに会うのははじめてで、どうしたらいいでしょうか」に、追出してくれたら、また後ろをつけますのでと打ち合わせ。
ママは西警察署管内でも有名であった。
お巡りさんもちょうど警邏の時間だったので、ママも交番から出て来る。
「いろいろ腹がたつこともあると思いますが、これは病気やからねぇ。そんなことはもう分かってはると思いますが、怒らんといてあげてくださいねぇ」と諭される。
もちろん怒ったりはしないが、その後、車がビュンビュン通る車道を歩くので、そこは手を引っぱって歩道に連れ戻すが、ママは「離せっ、触るなっ」と大暴れ、私に手を出す。
でも、運動神経の良い私はうまくパンチをかわし車道側をガード、ジーン・ケリーのステップで、ママのヤクザな攻撃を暖簾に腕押しで、雨に唄えばでかわす。
で、さらに東へ歩き出して、どこぞのビルのエントランスの階段に座り込んだママ、ここからが長い。
どのタイミングで声をかけるか、早過ぎたらまた興奮して怒るし、遅過ぎると歩かれへんとごねるし、難しい局面だ。
ちょうどあいこちゃんからケータイがあり、只今ママのライブ監視中と報告。
で、約40分待ったところで、ママの前を通り過ぎてコンビに水を買って戻って来る。
「ママ、お水飲みよぉ」に、「あ〜、美味しい。なぁ〜、これからどうしたらいいのぉ」。
それを聞きたいのはこっちじゃいで、「いや、どうしたらいいか分からんから、あんたに聞いてるんやないのぉ」で、そしたら帰りましょうで、やっと落ちたぜ。
しかし、もう歩けないそうで、堺筋本町から地下鉄で帰る。
ママはもうケロリとしたもので、「地下鉄って怖いなぁ。こんなとこ、一人でよう帰られへんわぁ。あんたは何でも知ってるんやなぁ。私は田舎もんやから、怖いわぁ。さすがにあんたは大阪の子やなぁ」で、普通の子になっていた。
家に着いたのが10時30分。
おいおいおい、4時間の徘徊やないの。
それも、妄想、興奮、暴言、暴力、徘徊と、認知症の周辺行動のフルコースやないの。
今日はママがデーから帰る前に久々に風呂に入ったので、きれいな体のまま気持ちよく寝たかったのに、ママに女衒あつかいされて、汗みどろの体は塩っぱいぞ。
しかしママはもう素直なおばあちゃんになっていて、パジャマに着替えて寝てくれる。
やっと静かな夜を迎え、あの4時間の不毛の徘徊が、もう遠い昔のような気になるのは、この4時間が全くのママのペースで私とは関係なく、ただ空気のようにママの後ろを漂っていただけだったからだろう。
そう、私にとって、この4時間は虚無、ブラックホールである。
本日の評価:
本日の家出:1回(善意の方々、靭交番)
by asayosan
| 2013-08-15 15:49
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