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ボケリン・ママリンの観察日記

11月12日(金)マナカードの後の、演劇的な最終鍋。

目をつぶていたが、ウソ寝のようだったので「そろそろ、起きてね」と言うと、パッと目を覚まし、「ここはどこやの?」。
朝、頭が混乱している時は、狸寝入りをして、私の対応からいろいろ考えをまとめていくのだ。
「北浜? 北浜って、あっこちゃんとこやな」
「はい。ここは、あっこちゃんの豪邸です。そよ風さん迎えにくるから、顔洗ってね」で、着替えて、髪をとかして、メガネ探して、ご飯を食べる一連の流れに、体がだんだん思い出してきて、お出かけのウキウキ感に心がついてくる。
「あっこちゃん、詩吟の本、入れてくれた? 入ってるの。オーケーやね。ほんなら、降りとくわ。まだ、電話ないの。今日は雨やの。ほんなら、ここで待ってるわ」で、電話がなり、一緒に降りる。

マンション前で待っていると、理事長が出て来て、おはようございますの敬礼。
「最近、早起きになってしまってなぁ。俺も歳やわぁ」と82歳の理事長は、ママと同い歳。
「朝ご飯は、食べはりましたん?」
「理事長は、毎朝、喫茶店でモーニング食べてはるの」
「へぇ〜、行きつけの店があるんですねぇ。あぁ〜わかったあぁ、カワイイ女の子がいて、その子が目当てなんでしょう」と小指を立て、「うちの兄も、女の子目当てで通っていた店があったんで、その気持ちは、わかりますよぉ」と、イヒヒッと媚びた笑いをするママリン。
「なんかママ、歳とってきて、だんだんエロっぽくねってきてへん?」と言うと、「いいの。いいの。歳をとったもんは、好きなこと言うて、本能のままに生きたらいいの」と、やけに明るい。

私が子供の頃は、テレビでキスシーンがあるとチャンネルを変え、恋愛関係の話題はタブーだったのに、認知症になってからは、セックスなんて単語も口にするし、私の友達ともエロネタをしゃべってたりする。
認知症になって、本能の解放がなされたのか、それとも元々スケベだったのか、とにかく、投げキッスなんかも恥ずかしげもなくやってしまうエロばあちゃんになった。
まぁ、そんなことをしても、次の日はさっぱり忘れているので、あらぬ恋愛問題には発展しないのがご愛嬌である。

で、本日はマナカード講習会があり、引き続き鍋を準備して、丁度いい頃合いに、ママリン、帰って来ました。
私たちが、ひき続き、マナカードの占いをやっていて、でも、人が多くて楽しそうなママリン。で、8時過ぎにみんな帰り、後片付けなんかやってもらい、たまたまテレビを見ていたら「劇団新幹線」のドキュメント。

芸大のひとつ下で、扇町ミュージアムで同じ職場ビルだったので、いろいろ思い出が蘇る。
当時、新幹線の初演、つかこうへいの「熱海殺人事件」も裏方で見ていて、どちらかというと南河内万歳一座の方が、好きだった私、バ〜と昔を思い出す。

ママに当時の芝居の二派を目の前の鍋を想定して演劇的に説明する。
例えば、新幹線が初演したつかこうへいの場合は、
「今、鍋が煮えている。豆腐も白菜も煮えている。熱い。熱い。でも、僕は、これを食べなければならない。だけど僕は彼女を愛していないのだ。豆腐も白菜も、愛していないのだ。ただ食べるのは好きなのだ。僕は食べるることで熱さに煮えたぎる白菜で、唇に火傷をする。それは僕にとって、彼女を殺すためめの鍋なのだ」と、あえてブス殺しの汚名をきての無理矢理展開。

だとすると、南河内万歳一座の初演、唐十郎的の場合は、
「鍋が煮えている。豆腐も白菜も、グツグツと煮えている。湯気が僕の顔にバァ〜っとかかり、湯気、湯気、湯気、それが僕の目に、口に、耳に、鼻に入り、僕の体は全部、湯気になり、僕は、僕は、湯気の目で見た鍋と同化して、心臓も脳味噌も、血管も湯気となり、僕はジャガーの目となるのだぁ〜」
と、セリフを言うと、「あんた、なんで、役者にならへんかったん?」
残念、私は、ずっと裏方人生です。

で、10時に、ニョキッと起きたママリン、「明日、どこ行くの? 陽だまりさん? 明日、起こしてくれる? 起こしてくれるの。万事、大丈夫やの。全部、オーケーやの。安心しました。それでは、寝かせてもらいます。あ〜、よかった」で、私も、よかった。

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by asayosan | 2010-11-12 13:33 | 今日のママリン

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