ボケリン・ママリンの観察日記

12月15日(水)何故に私は此処にいるのか?

本日も8時半頃、自分で起きる。
着替えて、ご飯食べて、さっさと出て行こうとするので「今日は、寒いから、管理人室で待っときな」。で、降りてみると、管理人さんやお掃除のおばちゃんたちと楽しくしゃべっている。ご機嫌である。デーサービスのお迎えのスタッフの人に敬礼してる。久々に敬礼が出た。

e0200261_2053376.jpge0200261_2055173.jpgさくらさんのお戻りは4時半だ。この日の夜は長い。
案の定「ご飯にしよか」と聞くと「お腹すいてない」。
さらに、「なんで、私はここにおらんとあかの?」という超初級の質問に、今日は基礎編から説明することにする。
まずは、夕食はカブとカボチャのグラタンをオーブンで焼いて、あと、大根の葉の甘辛炒めと、頂き物の釘煮、朝の残りもんの鶏胆ニラ入り卵焼きメニュー。

「なんで、私は、ここにおらなあかんの?」
「もう、2年もここにいるのに、忘れているの?」
「そんなことないわ。昨日、来たとこやん」
「いいえ、もぉ2年、いますよ。その忘れてしまうのが、認知症という病気やのん。とっくに死んでる万吉さんやユキさんや、亀ちゃんやかずえ姉さんが、まだ生きてると思ってるんやろ」
「だって、葬式してないもん」
「いいえ、私は、子供の頃におばあちゃんもおじいちゃんも葬式に行ったのを覚えているわ。子供が覚えているのに、自分の両親が死んだのも、姉たちが戦前に死んだのを忘れているの? それが、認知症っていう病気やん」
「あ〜あ。長生きなんかしたくないわ。私の身内はみんな死んでるやな。死んだ方がマシやわ」
「そんなん、ママだけと違うやん。世界中の人が歳をとって、世界中の人がいつかは死ぬんやから、一人ぼっちになってる人は、世界中にたくさんいるの。私なんか、子供いないし、親戚はみんな年上やし、孤独死確定やねんから。ママはこうして娘と一緒に暮らせるから、寂しくはないやん」
「ほんま、あんた、どうするの?」
「私はいいの。ママと暮らしたおかげで、老いるということを観察させてもらってるから、もぉちゃんとプランを考えてるの。誰も知らずに死んで、白骨死体でみつかる覚悟はしてるの」
「なんでよぉ。あんたの方が先に死ぬかもしれへんやん。そうなったら、私はどうなるの?」
「役所の介護課の人が、どこか施設に入れてくれるわ。あっ、正彦がいるやん」
「正彦は、あかん。施設あるなら、今でも入りたいわ」
「ママは、まだ介護支援3やの。まだ上に4と5があるの。それより、一人暮らしで身寄りのない老人もたくさんいはるから、そんな人を優先しはるの」
「あ〜あ。老人なんか、早く、死んだ方がいいんやな。みじめなだけや」
「楽しく暮らしてる老人もたくさんいるやん。お隣の理事長なんか、82歳でママと同歳やのに、男で一人暮らしやねんよ。朝は近所の喫茶店行って、昼は近所のご飯屋に行って、夜は行きつけの飲み屋に行って、常連さんらと楽しんでるやん。りえちゃんのお父さんも同歳やけど、三味線やダンスなんか習いに行って、生き生き暮らしてるんやん。老人はみんな惨めなんて、それは老人に失礼やわ」
「金持ちの老人やから、幸せやねんわ。金のない老人はみじめや」
「お金の問題やないの。私はお金はあまり使わないけど、幸せやもん」
「そやっ、正夫さんが死んだのが、私の不幸のはじまりやったんやわ」
「それも、違うわ。ダンナさんが病気になって、自分も歳でしんどいのに、看病でヘトヘトになってるおばあちゃんもいるし、前のうちの隣のおじいちゃんとおばあちゃんは、夫婦で寝たきりで、認知症の気もあって、ヘルパーさんが毎日きてたで」
「そんなこと言うても、身内が誰もいないのは、寂しいよぉ」
「でも、ダンナが死んで自由になったで、旅行や食事に飛び回ってるおばあちゃんもいるし、自分の老後をどんな風にするかは、その人の心の持ちようよ」
「あんた、一人になったら、どうするの?」
「私は、一人ぼっちの覚悟があるもん。白骨死体、確定やからね」
「あ〜あ。あんたは若いから強いんや。年寄りはろくなことないんや。早く死んだ方がいいんや」
「でもな、人生が楽しいかどうかは、歳に関係ないの。若くても不幸せな人もいるし、老人でも幸せな人はいるの。幸せかどうかは、歳は関係ないの。私が孤独死しても、私にとっては幸せかもしれんやん。ママはもう少し、肝っ玉が座った女やと思っていたのに、毎日不満ばかり言うて、ちょっとガッカリやわ」
「何言うてんの。私は、どっしり構えているよ。小さいことで、ごちゃごちゃ言わへん」
「よう言うわ。ずっと、女々しいことばかり言うてるやん。早く死にたいとか、身内がいなくて寂しいとか、死んでる人に会いたいとか、わけわからんわ」
「ほんなら、ここにドシッとおっていいんやね」
「いいよ。ここにいたら、そよ風さんに行って、ご飯食べて、フカフカのお布団に寝て、心配すること何もないやん。それを幸せと感じて、素直に喜んで寝たら、明日も楽しい1日と思えるの」
「ほんなら、ここにおります。もぉ、寝るわ」。

で、パジャマに着替えて、6時にふとんに入ったのに、
「あんた、あこちゃんに電話して。あんたと違う。もう一人のあこちゃんや。ちょっと、電話してくるわ」で、出て行く。
10分後、平野町交番から電話があり、今日はまた徘徊がはじまるかなと思い、厚着して迎えに行くと、すぐ一緒に帰ってくれる。お巡りさんの「今日は遅いから、明日ゆっくり探そ」というお巡りさんの説得がうまかったおかげだ。

家までの道すがら、
「あっこちゃんはどこやの。あんたやの? 違うって、菅章子はどこやのん?」
「その、菅章子っていうのが、わからんわ。どういう関係?」
「私の姉やん。菅亀代やん」
「亀ちゃんは肺病で死んだんと違うの?」
「そうや、死んだよ。うちのあこ姉ちゃんはどこやの?」
「それが、私にはわからんのよ」
とか、言いながら、家について「あ〜、ここが一番いいわ」。

「うちの母さんは、どこにいるの?」
「悪いけど、死んでるんよ。デパートで売ってるなら、買ってあげるんやけどなぁ」
「私も、買って欲しいわ。あ〜あ、もぉ、寝よかな」
で、お布団に入る。

「あ〜、気持ちいい。やっぱりあっこちゃんとこが一番いいわ。寝かせてもらうわ」
で、7時6分に寝はる。

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by asayosan | 2010-12-15 12:49 | 今日のママリン

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